大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の運営会社であるMPH株式会社に対し、従業員など債権者が破産を申し立てる準備に入ったとの衝撃的なニュースが飛び込んできました(2025年5月15日報道)。
「契約したばかりなのに…」「支払ったお金はどうなるの?」「予約が取れないままだった…」など、多くの契約者様や関係者の皆様が大きな不安を抱えていることと思います。
この記事では、なぜミュゼプラチナムがこのような事態に至ったのか、その理由や背景を深掘りし、契約者様や従業員の皆様が今何をすべきか、そして脱毛サロン業界が抱える問題点について、関連情報や専門家のインタビュー、SNSでの声などを交えながら詳しく解説します。
ミュゼプラチナムに今、何が起きているのか?現状を整理
まず、現在のミュゼプラチナムの状況を整理しましょう。
- 破産申し立ての準備:運営会社MPHに対し、従業員を中心とした債権者が破産申し立ての準備を開始。
- MPH株式会社とは:2024年9月に「ミュゼプラチナム」事業を引き継ぐ形で設立された会社。しかし、分割前の法人が残した社会保険料の滞納に伴う差押などが表面化。
- 深刻な経営状況:
- 多額の未消化役務(顧客が前払いした施術が未提供の状態)が存在。
- 利用者の一部が返金を要求。
- 従業員への給料遅配も発生(3月末時点で約2,025人在籍、未払い給与は約15億円との報道も)。
- 店舗の状況:2025年3月には全店舗(2024年12月時点で全国約170店舗)を一時休業と発表。
- 運営会社のコメント:給与未払いについて「今月末から一部支払いを開始し、年内には完了する見込み」とコメント(NHK報道)。しかし、具体的な再生計画の全容は見えにくい状況です。
こうした状況から、多くの利用者が「私の契約はどうなるの?」と不安を感じ、従業員も生活への影響を懸念しています。
なぜミュゼは危機的状況に?その理由と根深い背景とは

業界最大手とも言われたミュゼプラチナムが、なぜこのような事態に陥ってしまったのでしょうか。
報道や関係者の話を総合すると、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
1. 前身企業から引き継いだ負の遺産と自転車操業体質?
MPH株式会社は2024年9月に事業を引き継ぐ形で設立されましたが、報道によると「分割前の法人が残した社会保険料の滞納に伴う差押など」が表面化したとされています。
これが経営の重荷になった可能性が指摘されています。
SNSでは、「結局、脱毛サロンやエステといった前払い方式の企業は、いつか倒産する運命にあるのだと思います。自転車操業だからです」といった声もあり、以前から経営体質への懸念があったのかもしれません。
また、「トリンドル玲奈さんらの有名人を使って大々的に広告してましたが、広告費をかけすぎて、実情は火の車だったそうですね」というコメントもあり、華やかな広告の裏で厳しい経営状況が続いていた可能性も伺えます。
2. 複雑な経営体制と経営権トラブル
東京商工リサーチの報道(2025年5月13日)によると、ミュゼプラチナム事業はMPH、新生ミュゼプラチナム、どこでもミュゼプラチナムの3社が連携する体制に移行し、さらに「ミュゼプラチナムの商標権、営業権などはすべてGBF(グローバルブリッジファンド合同会社)が保有しており、すでにMPHにはない」とされています。
こうした複雑な資本関係や権利関係が、迅速な経営判断や責任の所在を曖昧にした可能性も否定できません。
2025年2月には経営権を巡る内紛が勃発したと報じられており、これが経営の混乱に拍車をかけたと考えられます。
MPHの高橋英樹社長はインタビューで「MPHの給与明細のシステムや社員情報のシステムが2月の紛争時に初期化されていて、いまだに引き継がれておらず、誰にいくら給与を払うか不明な状況」と語っており、内部対立が事業継続に深刻な影響を与えたことがわかります。
3. 「ミュゼ転がし」疑惑と不透明な資金の流れ
SNS上では、「ミュゼプラチナムは、2023年4月に船井電機・ホールディングスが設立したミュゼプラチナシステムズ合同会社の完全子会社となり…この買収は短期間での売却や資金流出を伴い…『ミュゼ転がし』と呼ばれる不正な資金調達スキームが疑われています」といった深刻な指摘も見られます。
これが事実であれば、顧客から預かった前受金が事業運営ではなく、別の目的に流用されていた可能性も考えられ、大きな問題です。
MPHの高橋社長はインタビューで「家宅捜索は入っていない」「ミュゼの件では我々は清廉潔白だ」と不正疑惑を否定していますが、多くの利用者が不信感を抱いているのも事実です。
4. 前払いビジネスモデルに潜む構造的リスク
脱毛サロン業界で一般的な「前払い制」は、顧客にとっては一括で支払うことで割引を受けられるメリットがある一方、企業側にとっては将来提供するサービスへの対価を先にもらうことで、短期的な資金繰りを良く見せかけることができます。
しかし、これは「未消化役務」という将来の負債を抱え込むことになり、新規顧客の獲得が滞ると一気に経営が悪化するリスクを孕んでいます。
SNSでも「美容系や脱毛サロンは、破産のニュースが多い気がするが…お得だからといって先に多額のお金を払うのはリスクがあるよね」という意見が多く見られます。
ミュゼプラチナムも例外ではなく、高橋社長のインタビューによれば、MPHの負債約300億円のうち、約200億円が未消化役務だったとされています。
この問題について、より詳しい解説は「脱毛サロン業界全体の問題と教訓」の章で触れます。
ミュゼ契約者はどうなる?施術再開・返金・法的措置の可能性は?

現在、ミュゼプラチナムと契約中の方々にとって、最も気になるのは「施術は続けられるのか?」「支払ったお金は返ってくるのか?」という点でしょう。
施術は「どこでもMUSEE」で再開?その実態と注意点
ミュゼプラチナム側は、新サービス「どこでもMUSEE」を通じて、フランチャイズ(FC)形式で会員への施術を継続するとしています。
2025年4月24日のプレスリリースでは「全国で285店舗の加盟が確定」し、順次サービスを再開すると発表しています。
MPHの高橋社長は、「未消化役務が残っている約20万人の顧客は、どこでもミュゼの加盟店で施術を受けられる体制が出来てきた」と述べています。
予約は会員専用マイページから行えるとのことです。
しかし、以下の点には注意が必要です。
- 店舗の場所とアクセス:従来の直営店とは異なる場所になる可能性があります。お住まいの地域で通いやすい場所に加盟店があるか確認が必要です。「加盟店へのトラブルを回避するため、HP上で店舗の詳細な住所はあえて記載していないが、施術予約をした顧客には詳細な住所が通知される仕組み」とのことですが、この点に不安を感じる声もあります。
- サービス品質の維持:「直営店舗と同様の機器および研修を経たスタッフによる施術」とされていますが、実際に同等のサービスが提供されるかは未知数です。
- 予約の取りやすさ:以前から「予約が取れない」という声が多かったミュゼ。FC店でスムーズに予約が取れるようになるかは、今後の運用次第です。
返金は期待できる?厳しい現実と破産手続きの影響
前払いした施術料の返金については、非常に厳しい状況と言わざるを得ません。
一般的に、企業が破産手続きに入った場合、債権者への配当は法律で定められた優先順位に従って行われます。
従業員の未払い給与などが優先されるため、顧客への前受金の返還は後回しになり、全額はおろか一部も戻ってこないケースが多いのが実情です。
SNSでも「給与の先取性や未払債務を考えると、施術の先払いの返還はかなり厳しそうに見える」といった冷静な意見が見られます。
運営会社MPHは「MPHは現時点で破産させない予定」としていますが、債権者による破産申し立てが認められれば、状況は変わります。
これって詐欺じゃないの?法的措置は考えられる?
「前払いで契約したのに施術が受けられず、返金もされないという状況は、詐欺としか思えません」というSNSのコメントには、5000件以上の「共感した」が寄せられています。
経営陣が資金繰りの悪化を認識しながら新規契約を続けていたとすれば、刑法246条の詐欺罪に該当する可能性もゼロではありません。
特に、「副店長が2月に私に新たなプランを提供して、またローンを組ませようとしたことにびっくりです。もしあの時契約していたら…」といった証言もあり、経営状況を隠して契約を促していたとすれば、悪質性は高いと言えるでしょう。
もし法的措置を検討する場合は、契約書、支払い証明、店舗とのやり取りの記録などを証拠として保管し、消費者センターや弁護士に相談することをおすすめします。
※当ブログは法的な助言を行うものではありません。具体的な対応は専門家にご相談ください。
ミュゼ従業員の給与未払いはどうなる?

ミュゼプラチナムの従業員にとっても、給与未払いは死活問題です。
報道によれば、2025年1月から4月にかけて約15億円の給与が未払いになっているとされています。
MPHの高橋社長は「給与の未払金は必ず支払う」「想定通りに売上が推移すれば、年内には給与を全額払えるようになる」とインタビューで語っていますが、その実現性には疑問符が付きます。
「給与明細のシステムや社員情報のシステムが2月の紛争時に初期化」されたため支払い作業が遅れているとの説明も、従業員にとっては納得しがたい状況でしょう。
一部従業員らが破産申し立てに踏み切ったのは、会社側の説明や対応への不信感の表れとも言えます。
破産手続きが開始された場合、未払い賃金は優先的に保護される権利(先取特権)がありますが、会社の資産状況によっては全額の支払いが困難な場合もあります。
影響を受けている従業員の方は、労働基準監督署やハローワークに相談し、必要な手続きを進めることが重要です。
脱毛サロン業界全体の問題点と私たちが学ぶべき教訓

ミュゼプラチナムの問題は、決して他人事ではありません。
脱毛サロン業界には、以前から指摘されている構造的な問題点が存在します。
1. 「安さ」を強調した広告と高額な長期契約への誘導
「数百円で脇脱毛し放題!」といった極端に安いキャンペーンで集客し、カウンセリングで高額な全身脱毛コースや長期契約を勧める手法は、多くのサロンで見られます。
消費者は「お得だから」と契約しがちですが、その裏には大きなリスクが潜んでいます。
「私も数年前に通って満足いくまで施術して頂きましたし、スタッフの方もとても親切でした。いつの頃からか脱毛が激安になって自身も数百円の契約でした。こんなんで経営大丈夫?って思ってたらやっぱりこうなった」という元利用者の声は、こうしたビジネスモデルの危うさを示唆しています。
2. 前払い金の自転車操業リスク
前述の通り、前払い金に依存した経営は、新規顧客が途絶えたり、解約が増えたりすると、すぐに立ち行かなくなる「自転車操業」に陥りやすい構造です。
SNSでは「英会話教室と美容系サロンはいつの時代もこんな感じですよね」という指摘もあり、同様のトラブルは後を絶ちません。
3. 予約の取りにくさとサービスの質の低下
「いざ通うとなると中々予約が取れず数ヶ月先もザラ」「契約してました。半月に一度通えると言われて前払いで支払い…経過するにつれ予約間隔が長くなり騙されたと思いました」といった不満は、ミュゼに限らず多くの脱毛サロンで聞かれます。
これは、集客数に対して施術キャパシティが不足していることが原因と考えられ、経営が悪化するとさらに顕著になる傾向があります。
【対策】賢い消費者になるために!脱毛サロン契約時の注意点
今回のミュゼの問題を教訓に、脱毛サロンを選ぶ際には以下の点に注意しましょう。
- 契約内容をしっかり確認:料金体系、契約期間、中途解約の条件、返金規定などを隅々まで確認しましょう。不明な点は遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めましょう。
- 前払い・長期契約は慎重に:高額な前払い契約や長すぎる契約期間にはリスクが伴います。都度払いや短期のプランがあるか確認し、検討することも一つの手です。
- 口コミや評判を多角的に調査:広告だけでなく、実際に利用した人のリアルな口コミ(良い点も悪い点も)を参考にしましょう。ただし、サクラや悪質な口コミもあるため、情報の見極めが重要です。
- カウンセリングでの強引な勧誘に注意:その場で契約を迫られたり、高額なローンを組ませようとしたりするサロンは要注意です。一度持ち帰って冷静に検討する姿勢が大切です。
- 経営状況に不安を感じたら:「最近予約が取りづらくなった」「備品が粗末になった」など、少しでも異変を感じたら、追加契約は控え、消費者センターなどに相談することも考えましょう。
SNSでは「政府も、そういった前払い方式の商売は規制して欲しいです」という声も多く上がっており、消費者保護の観点から、業界全体の健全化と法整備が求められています。
まとめ:ミュゼ問題から学ぶ、賢い選択と今後の展望
ミュゼプラチナムの経営危機は、多くの契約者や従業員に衝撃を与え、脱毛サロン業界が抱える根深い問題を改めて浮き彫りにしました。前払いビジネスモデルのリスク、不透明な経営実態、そして何よりも顧客や従業員への誠実な対応の欠如が、今回の事態を招いたと言えるでしょう。
契約者の方々は、まずは正確な情報を収集し、ミュゼ側の発表や「どこでもMUSEE」の状況を注視しつつ、必要であれば消費者センターや弁護士などの専門機関に相談することをおすすめします。従業員の方々も、自身の権利を守るために適切な行動を取ってください。
この一件を教訓として、私たち消費者は「安さ」だけに飛びつくのではなく、契約内容を吟味し、リスクを理解した上でサービスを選択する「賢い消費者」になる必要があります。そして、業界全体がより透明で健全なものへと変わっていくことを願わずにはいられません。
この記事が、不安を抱える皆様の一助となれば幸いです。
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