水銀の規制を目的とした国際的な取り決めである「水俣条約」に関する締約国の会議が、スイスのジュネーブで3日まで行われました。
この会議で、2027年末を目標として、直管蛍光灯の生産と国際的な輸出入を禁止することが合意されました。
なぜ蛍光灯の製造が禁止になるのか疑問がわきますね
- 2027末までに蛍光灯製造禁止の理由は?
- 生産終了後はどうなる?
これらについてお話していきます!
2027年までに蛍光灯製造禁止の理由は?
- 水俣条約と水銀規制のため
- 健康被害や環境への影響を軽減
- 代替のエネルギー効率の高い照明技術への移行
それぞれ説明をしていきます!
水俣条約と水銀規制
蛍光灯の製造禁止については、水俣条約による水銀の規制が影響しています。
水俣条約は、国際的な規則であり、水銀による健康被害や環境汚染を防ぐために制定されました。
水銀は、蛍光灯を含むさまざまな製品で使用されてきましたが、その毒性が高く、水俣病などの健康被害を引き起こす要因として知られています。そのため、蛍光灯の製造においても水銀の使用を制限する必要があるとされています。
水銀の健康被害や環境悪化を防ぐために設けられた国際的な規則。
この規則は、水俣病の悲劇を再び繰り返さないために、日本政府が提案し、2013年に採択されました。その効力は2017年から発効し、147の国や地域が参加しています。
体温計、血圧計、電池などの水銀を含む製品に関しては、2020年までに生産と輸出入が原則的に禁止されました。また、新たな水銀鉱山の開発も禁止され、各国には水銀の適切な保管と廃棄方法を遵守するよう求められています。
健康被害や環境への影響を軽減
水銀は、蛍光灯を含む体温計や電池など、多くの製品で過去に使用されてきましたが、その毒性が高く、水銀を原因とする水俣病などの被害も発生していました。
水俣病は、熊本県の水俣湾周辺にある化学工場から排出されたメチル水銀(有機水銀)によって汚染された海産物が、住民によって長期間にわたり摂取されたことにより、水銀中毒が集団的に発生した公害疾患です。
この病気は、中枢神経障害や胎児への影響を引き起こす四大公害病の一つとして位置づけられています。
水俣病は、環境中の有機水銀が食物連鎖を通じて人々に影響を及ぼす初の大規模な公害疾患であり、その影響は長期にわたって続いています。
このたび、蛍光灯の生産が禁止されることになりましたが、以前から環形蛍光灯についてはすでに2025年までに製造が中止されることが決まっていました。
LED照明の広まりに伴い、環形蛍光灯に対する需要が減少している背景も存在しています。
代替のエネルギー効率の高い照明技術への移行
第5回の「水俣条約」締約国会議で、直管蛍光灯の製造と輸出入を2027年末までに禁止する合意がなされた要因として、世界規模で発光ダイオード(LED)照明の普及が挙げられます。
これにより、より効率的で環境にやさしい照明技術であるLED照明に移行し、蛍光灯の代替として広く採用される方向への切り替えが求められています。
蛍光灯の生産終了後はどうなる?
新たな蛍光灯の製造は禁止され、在庫品のみ使用可能です。しかし、蛍光灯からより効率的で環境にやさしい照明技術であるLED照明に移行することが促進されます。
LED照明は水銀を含まないため、環境に対する有害性がなく、また蛍光灯よりも優れた性能を持ちます。
LEDは消費電力が少なく、寿命も長いため、経済的であり、現在では家庭、オフィス、公共施設などで幅広く使用されています。
これにより、環境への負荷が低減し、エネルギー効率が向上します。
ただし、LEDにはいくつかのデメリットも存在します。まず、LEDの購入コストが他の照明方式に比べて高いことが挙げられます。しかし、長期的な視点から見ると、LEDは寿命とエネルギー効率を考慮すると経済的な選択となります。
さらに、LEDは使用中に光量が徐々に減少する傾向があり、特に高温と高湿度の環境ではこの現象が顕著になることがあります。この点を注意しながらLED照明を管理することが重要です。
まとめ
今回は、蛍光灯の製造禁止が2027年末までに実施される理由と、その後の状況についてお話ししました。
蛍光灯の製造禁止の背後には、水銀の規制と環境保護への配慮があります。
水銀を含む蛍光灯は、健康被害や環境汚染のリスクを抱えており、それを踏まえて、国際的な規制である水俣条約に基づき、製造の終了が決定されたのです。
この措置により、私たちはエネルギー効率の高いLED照明などの代替技術への移行を進め、健康と地球環境の保護に一歩近づくことができます。
お読みいただき、ありがとうございました!
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