「日本の宇宙ベンチャーispace(アイスペース)、月面着陸に再び挑戦!」
このニュースに、多くの人が期待と興奮を胸に、固唾をのんで見守っていたのではないでしょうか。
しかし、2025年6月6日、届いたのは「着陸失敗」という残念な知らせでした。
「また失敗しちゃったのか…」
「前回と何が違ったの?」
「そもそも、なんで月面着陸ってこんなに難しいの?」
そんな風に感じている方も多いと思います。
そこでこの記事では、今回のispaceの挑戦について、なぜ失敗に至ってしまったのか、その原因と背景を誰にでも分かるように徹底解説します。前回の失敗との違いや、ispaceの今後の展望まで、あなたの疑問にしっかりお答えします。
【結論】ispace月面着陸、今回の失敗の直接的な原因は?
まず結論から。ispaceの会見によると、今回の失敗の直接的な原因は、着陸の最終段階で「月面との距離を測るシステムのデータ取得が遅れ、十分に減速できなかった」ことにあると見られています。
もう少し分かりやすく言うと、
- 着陸船は、月面に近づきながら逆噴射でブレーキをかける必要がある。
- そのために「今、地面からどれくらいの高さにいるか」を正確に測る必要がある。
- しかし、その高さの計測データを得るのが想定より遅れてしまった。
- 結果、ブレーキが間に合わず、猛スピードのまま月面に衝突(ハードランディング)してしまった可能性が高い、ということです。
袴田武史CEOも会見で「最終的に月面にハードランディングした可能性が高い」と述べており、事実上の「衝突」だったことが伺えます。
前回(2023年)の失敗との違いは?同じ原因だったの?
「また失敗」と聞くと、「前回と同じミスをしたの?」と思ってしまいますよね。
しかし、会見での説明によると、原因は前回とは異なる可能性が高いようです。
ここで、2回の挑戦を比較してみましょう。
前回の失敗(2023年4月 ミッション1)
- 原因:ソフトウェアの誤認識
- 詳細:着陸地点のクレーターの崖を通過した際、急激な高度変化をセンサーが「異常」と誤判断。その結果、高度を間違えて認識し、燃料を無駄に噴射してしまい、最終的に燃料切れで墜落。
今回の失敗(2025年6月 ミッション2)
- 原因:高度測定データの取得遅延(※現時点での推測)
- 詳細:高度を測るセンサー自体は正常だったものの、有効なデータを取得するタイミングが想定より遅れた。そのため、着陸シーケンスが上手く働かず、減速が間に合わなかった。
氏家亮CTO(最高技術責任者)も「前回とは異なる現象が観測されており、現時点では同じ原因とは判断できない」と語っています。
つまり、前回は「ソフトウェアの判断ミス」という問題でしたが、今回は「データ取得のタイミング」という、また別の新たな課題が浮き彫りになった、ということです。
それだけ月面への着陸は、想定外の事態が次々と起こる難しいミッションだと言えます。
そもそも、なぜ月面着陸はこんなに難しいのか?
「アメリカや他の国は成功しているのに、なぜこんなに失敗が続くの?」と感じるかもしれません。しかし、月面への軟着陸(ソフトランディング)は、世界的に見ても非常に難易度の高い技術なんです。
その理由は大きく3つあります。
理由1:大気がほとんどない
地球に帰還する宇宙船は、大気の抵抗を利用してパラシュートを開き、速度を落とします。
しかし、月には大気がほとんどないため、パラシュートが使えません。
すべての減速を、エンジン逆噴射という精密な制御だけで行わなければならないのです。
理由2:地球とは違う重力
月は地球の6分の1とはいえ、強い重力があります。
常に下に引っ張られる力と戦いながら、ピンポイントで速度と高度をコントロールし続ける必要があります。
理由3:リアルタイムで操作できない
地球と月は距離が離れているため、通信に数秒のタイムラグが生じます。
地球からリアルタイムでラジコンのように操作することは不可能です。
着陸のプロセスは、すべて着陸船に搭載されたコンピューターが自律的に判断して実行しなければなりません。
袴田CEOも会見でこう語っています。
「2回目の着陸もできていないので、普通に考えると月の着陸は難しい。誰でもできるものではなく、難しいという認識はある。ただ、重要なのは不可能ではないということ。難しさをどのように克服するか突き詰めていきたい」引用:日本経済新聞
民間企業による月面着陸は、2024年にアメリカの企業が初めて成功したばかり。
ispaceの挑戦は、それくらい世界の最先端で、困難な道なのです。
ispaceの今後はどうなる?ミッション3への挑戦は?
2度の失敗を受け、「ispaceはもう大丈夫なの?」と心配になりますよね。
この点について、野崎順平CFO(最高財務責任者)は、「すぐに(財務状況が)悪化する状況ではない」と説明。
株主への申し訳なさを語りつつも、今回の失敗で直ちに経営が傾くわけではないことを強調しています。
そして何より、CEOの言葉が力強いです。
「失敗した事実を重く受け止めなければならないが、前に進む強い気持ちを持ち続けたい。次につなげることが我々の責務。月の探査や活動が日本で続く潮流を維持していきたい」
引用:日本経済新聞
すでに、2027年には次の「ミッション3」が計画されています。
今回の失敗で得られた膨大なデータは、決して無駄にはなりません。
むしろ、このデータこそが、次の成功の確率を上げる最も価値ある財産になります。
石破首相もX(旧Twitter)で「この挑戦が持つ価値は一時的にできるものではない。ispaceに対する期待が揺らぐことはない」とエールを送っており、国としてもこの挑戦を支えていく姿勢です。
まとめ:失敗は終わりじゃない!次への一歩
今回は、ispaceの月面着陸がなぜ再び失敗したのか、その原因と背景を解説しました。
- 今回の失敗原因は「高度測定データの取得遅延による減速不足」
- 前回とは異なる原因で、月面着陸の新たな難しさが浮き彫りになった
- ispaceはすでに次のミッション3を見据え、挑戦を続ける強い意志を示している
結果だけを見れば「失敗」ですが、その過程で得られたデータは、日本の宇宙開発にとって大きな財産です。
私たちは、ニュースの結果に一喜一憂するだけでなく、この困難な挑戦を続けるispaceを応援し、その歩みを見守っていくべきなのかもしれません。
ミッション3での成功を、心から期待しましょう!
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