商船三井、なぜ来期は純利益60%減?株価急落の背景にある3つの要因を徹底解説!

商船三井、なぜ来期は純利益60%減?株価急落の背景にある3つの要因を徹底解説! トレンド

2025年4月30日、海運大手の商船三井が発表した2026年3月期の業績見通しが市場に衝撃を与えました。連結純利益が前期比60%減の1700億円になるとの見通しで、事前の市場予想(QUICKコンセンサス:2220億円)を大きく下回る内容です。

この発表を受け、商船三井の株価は急落し、他の海運株にも売りが波及しました。

「前期(2025年3月期)は純利益63%増と絶好調だったのに、なぜ急にこんな大幅減益になるの?」
「配当金も前期の360円から150円に大幅減配って、いったい何があったの?」

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?この記事では、商船三井が大幅な減益を見込む「なぜ?」に迫り、その背景にある3つの主な要因を分かりやすく解説します。

要因1:トランプ政権の関税政策による「荷動きの悪化」

今回の減益見通しの最大の要因として挙げられているのが、トランプ米政権(※記事執筆時点での想定)の関税政策の影響です。

具体的には、以下のような影響が懸念されています。

  • 中国から北米向けのコンテナ輸送量の減少:関税が課されることで、中国製品の価格競争力が低下し、米国への輸出が減少する可能性があります。これにより、コンテナ船の主要航路である太平洋航路の荷動きが鈍化すると見込まれています。
  • 自動車船の輸送台数減少:同様に関税の影響で、北米や中国向けの自動車輸送が減少すると予想されています。特に完成車輸送は商船三井の主力事業の一つであり、収益への影響は小さくありません。
  • 港湾事業の取扱量減少:貿易量全体の減少は、コンテナターミナルなど港湾事業の取扱量にも影響を及ぼします。

ニュース記事でも以下のように報じられています。

トランプ米政権の関税政策の影響で中国から北米向けの荷動きの減少を織り込んだほか、港湾事業も取扱量の減少を見込む。

(日本経済新聞 2025/4/30 12:21)

自動車船で米国の関税政策の影響に伴い北米・中国向けの輸送台数が減る。

(日本経済新聞 2025/4/30 12:21)

米国の政策は世界経済や貿易に大きな影響を与えます。

特に保護主義的な動きが強まると、商船三井のようなグローバルな海運企業にとっては逆風となりやすいのです。

要因2:想定為替レートの「円高」進行

もう一つの大きな要因が為替レートです。

商船三井は2026年3月期の想定為替レートを1ドル=140.78円と設定しました。

これは、前期(2025年3月期)の実績レートである1ドル=152.79円(ロイター報道より)から、約12円もの円高を想定していることになります。

海運業界の収益はドル建てで計上される部分が多くあります。

そのため、円高が進行すると、ドルで稼いだ利益を円に換算する際に目減りしてしまいます。

前期(2025年3月期)の好決算には、記録的な円安も大きく貢献していました。

ロイターの記事でも「円安も寄与した」と指摘されています。その反動で、来期は円高による収益押し下げ効果が大きく見込まれている状況です。

想定為替レートは1ドル=140.78円(前年実績は152.79円)とした。

(ロイター 2025/4/30 12:25)

わずか数円の為替変動でも、商船三井のような巨大企業にとっては数十億円単位の利益変動要因となります。

12円もの円高想定は、利益を大きく押し下げる要因となるのです。

要因3:事業環境の変化と「市況の悪化」

関税や為替といった外部環境の変化に加え、海運事業そのものの市況悪化も減益要因として織り込まれています。

  • コンテナ船事業:コロナ禍以降のサプライチェーン混乱で歴史的な運賃高騰を見せたコンテナ船市況ですが、その後、新造船の大量竣工による供給過多や、荷動きの鈍化(要因1とも関連)により、運賃市況の軟化が予想されています。商船三井は日本郵船、川崎汽船と共同でコンテナ船事業会社「Ocean Network Express (ONE)」を運営しており、この事業からの利益貢献が大幅に減少する見込みです。
  • ドライバルク事業:鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶドライバルク船の市況も、一部船型で悪化が見込まれています。特にパナマ運河を通航できる最大サイズの「パナマックス船」の市況悪化が指摘されています。

海運大手3社で運営するコンテナ船事業が、船舶の供給増と米関税の影響で運賃市況が軟化し、大幅減益になると見込む。

(ロイター 2025/4/30 12:25)

ドライバルク事業ではパナマ運河を通航できる最大サイズの船舶を指すパナマックス船の市況が悪化する。

(日本経済新聞 2025/4/30 12:21)

前期(2025年3月期)はコンテナ船、自動車船、エネルギー輸送(ケミカル船など)が好調でしたが、来期は特にコンテナ船事業の落ち込みが全体収益を押し下げる形となりそうです。

大幅減配の理由は?株主への影響

今回の発表では、年間配当金が前期の360円から150円へと、半分以下に大幅減配される方針も示されました。

これは、上記のような大幅な減益見通しを受けたものです。

ただし、同社は連結配当性向(純利益のうち配当金に回す割合)については、前期並みの30.5%を維持するとしています。

つまり、「利益が減る見込みなので、それに合わせて配当も減らさざるを得ない」という状況です。

業績悪化を受け、26年3月期の年間配当は1株150円(前期は360円)に減配する。連結の配当性向は前期並みの30.5%となる。

(日本経済新聞 2025/4/30 12:21)

前期は好業績を受けて期末配当を増額修正(160円→180円)したばかりだっただけに、株主にとっては厳しい内容となりました。

株価が大きく下落した背景には、この減配発表も大きく影響しています。

まとめ:海運業界の変動性に注意が必要

今回の商船三井の2026年3月期大幅減益見通しの背景には、

  1. 米国の関税政策による荷動きの悪化懸念
  2. 想定為替レートの円高進行
  3. コンテナ船を中心とした市況の悪化

という3つの大きな要因があることが分かりました。

前期の歴史的な好業績から一転して厳しい見通しとなったことは、海運業界がいかに世界経済の動向、政治・政策、為替、そして需給バランスといった外部環境の影響を受けやすい、ボラティリティ(変動性)の高い産業であるかを改めて示しています。

今後の注目点としては、米国の関税政策の具体的な内容とその影響、為替相場の動向、そしてコンテナ船やドライバルク船の市況が実際にどのように推移していくか、などが挙げられます。

商船三井をはじめとする海運各社の今後の動向を引き続き注視していく必要がありそうです。

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あやみ
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このように、商船三井の業績見通しは、米国の政策や為替、市況など様々な外部要因に大きく左右されることがわかります。

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