11月10日、日住サービスはマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として、K.I.T(兵庫県西宮市)による同社株の公開買い付けに賛同し、株主に対しても同公開買い付けへの応募を推奨することを発表しました。なお、これに伴い上場廃止される見込みです。
- 日住サービス上場廃止理由は?
- 今後の事業計画とは?
これらについてお話していきます!
日住サービス上場廃止理由は?
- 経営上の問題を抱える日住サービスは、現状の経営課題に対処するため、長期的な視点で事業の構造改革を進めることが必要だった。
- 株式の上場を維持するための手続上の負担や金銭コストは近年増加傾向にあった
以上の理由によりマネジメント・バイアウト(MBO)により上場廃止を行い、当社株式を非公開化することが最も有効だと考えた
主力の不動産流通事業は市況に大きく影響を受けやすいため、投資用不動産や介護・飲食ビジネス、海外展開など事業の多様化が経営基盤を強化するための重要な課題となっています
長期的に事業を改革するためには上場廃止は必要なのですね・・・
- 不動産市場では価格が上昇し、中古マンションや戸建ての成約件数は前年比で減少。
- 高価格物件への需要が強く、需要の差が明確で市場の需給が二分化。
- 不動産業界では人材不足があり、人件費が上昇している。
- 国内人口減少の影響により、空室リスクが年々増大していいる。
- 日米の金利差が拡大し、急激な円安進行。これにより、エネルギー価格や原材料価格上昇が不動産価格に影響。
- 低金利環境からの一転で金利上昇の懸念があり、住宅ローン金利の上昇が不動産市場の冷え込みを招く可能性がある。
上記のように、情勢の動きや人口減少などの要因で厳しいものとなっています。
特に、エネルギー価格や原材料価格の上昇が不動産価格に悪影響を及ぼし、現場では以下のような厳しい状況が続いています
- 仕入れコストの高騰やそれに伴う再販価格の上昇により、住宅ローン審査が通らないケースが増加し、顧客の購入ニーズは高まっているものの、実際の購入が難しい状況
- 工事事業において人件費や材料費を含む建築費が上昇したことで、工事単価の値上げについては顧客の理解が得られず、利益率を確保するのが難しい状況
世の中の状況により仕方ないことではありますが、顧客の理解が得られないことに現場は相当苦労しているようです
それに加えて、日住サービスは主に関西圏に焦点を当てており、そのエリアでの強みを持っていますが、売上高は限定的です。一部の郊外エリアでは、人口減少の影響により単価が上がりにくい状況も考慮されています。
上場廃止後の事業計画とは?
日住サービス代表取締役の中村友彦さんは以下の事業計画を今後予定しています
- 新規ビジネスの取組
- 介護・飲食事業などの事業の多角化
- 遊休不動産の活用
- 不動産事業における海外展開
以下それぞれ説明をします
新規ビジネスの取組
中村氏は、新しいプロジェクトとして、日住サービスが新築した賃貸用建物を賃貸管理と共に投資家に販売する事業を検討しています。
この取り組みにより、日住サービスが築いてきたマーケティング力やデジタルトランスフォーメーション(DX)の経験を活かすことができ、賃貸管理事業の拡大により、安定した収益基盤を築くことが可能であると考えています。
介護・飲食事業などの事業の多角化
不動産事業は市況に大きく左右されるため、中村氏は日住サービスの収益の安定を図るために、介護・飲食事業などを導入し、事業を多角化することを模索しています。
特に介護事業は、高齢化社会の進展に伴い市場が広がっており、日住サービスの不動産事業との相乗効果が期待されています。
中村氏は、高齢者向けの介護施設やリタイアメントコミュニティの建設・提供、介護事業者への不動産の賃貸など、具体的な展開を考えています。
遊休不動産の活用
前述した「新規ビジネスの取り組み」と「介護・飲食事業などの事業の多角化」において、新たに取得した土地だけでなく、日住サービスが所有している未使用の不動産も活用できる可能性があります。
遊休不動産の有効活用により、これまで以上に業務の効率性を向上させ、収益率(ROA)の向上などの効果が期待できると考えられています。
不動産事業における海外展開
中村氏は、高い経済成長率と豊かな経済環境を有する都市、例えばドバイやシンガポールなどで、富裕層向けの不動産事業を展開する可能性を検討しています。
現在、日住サービスは京阪神エリアに21の営業所を有していますが、海外には拠点を持っていないため、海外で高い収益性を持つ富裕層向けの事業を展開することで、当社の利益率を更に向上させることができると考えています。
今後の見込み
中村氏はこれらの施策の実行により、中長期的には企業価値が向上する見通しですが、先行投資が相当に必要であり、予期せぬ事業リスクが現れる可能性も否定できません。
短期的には、これらの施策が一時的に収益とキャッシュ・フローにマイナスの影響を与えるリスクがあることを考慮すると、これらの取り組みを実施した場合、日住サービスが上場を維持しつつ資本市場から十分な評価を得られず、株式価値が低下する可能性があると懸念されます
上記の経緯から、事業計画を進めるためには上場を廃止することが最適と判断されました。
まとめ
この度は、日住サービスの上場廃止の理由や将来の事業計画についてお話ししました。
不動産業界が厳しい状況にあることが明らかになりました。
また、日住サービスが海外で不動産事業を展開する計画があったことは驚きでしたが、新しい取り組みにはリスクが伴うため、上場廃止は避けられない可能性があるのかもしれませんね。
お読みいただき、ありがとうございました!
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